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[税理士 木下 敦史]すべてのビジネスパーソンに
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現在進行形の特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度
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    3月決算の申告期限は5月31日まで(延長届を提出した会社は別)だが、19年度から初めて適用になる特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度(以下、オーナー会社課税)の実務上の取り扱いについて、考えてみたいと思う。

    ‥用対象会社の範囲

    業務主宰役員等が90%以上の株式を所有している場合など、一定の場合に該当する場合、業務主宰役員へ支給する給与のうち、給与所得控除額に相当する金額が、法人税の所得を計算する上で損金不算入となる、というのが特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度です。
    オーナー会社課税の適用対象となる「特殊支配同族会社」ですが、法人税法35条の中では、一貫して「会社」と表記されています。では会社とは何を指すのか。

    法人税法の対象となる法人のうち、「会社」と呼ばれるものは、会社法施行後は、株式会社、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社を指します。したがって、現行法上、会社法とは別の法律で規定している法人は、法人税法の課税法人であっても、法人税法でいう「会社」ではないので、「オーナー会社課税」の非対象となるのです。例えば、宗教法人・学校法人、社団・財団法人、医療法人、NPO法人等の中間法人など非対象となります。

    業務主宰役員は誰か?

    業務主宰役員について、税務通信2920号(2006年5月29日)では次のように解説しています。

    経営の実権を握っていたり、金銭の使途の管理や指示をしているなど、対外的・実質的にみてその事業の中心となっている者が、業務主宰役員となるようだ。仮に、状況が同じである者が複数いる場合には、給与額など様々な要素を勘案して総合的に判断されることとなろう。


     さらに続けて、

    例えば、長年社長の座に就いていたAが、Aの息子であるBに社長の座を譲ったが、Bはまだ経験が浅いため、Aが時折、経営に口だしをしている場合、どちらが業務主宰役員となるのか判断に困るが・・
    ・・Aの仕事がアドバイス程度である場合や対外的にみてAが引退していることが明らかである場合にはBが業務主宰役員となり、Aが経営の最終的な判断を下している場合など実質的に指揮をとっている場合などは、Aが業務主宰役員となるようだ。



    AとBがダブルオーナーの場合などはどうなるのだろうか。
     役員選任登記や、取締役会の議事録や、組織図や、社内の肩書等といった形式的なものではなく、会社内の慣例やパワーバランスなども考慮して実態を重んじて判断基準とせねばならないのだろう。

    E用除外の判定

    さて、オーナー会社課税適用除外の要件の一つに業務主宰役員グループ(業務主宰役員とその親族等の関連者)で90%以上の株式・出資を所有している場合その他一定の場合というのがあります(以下、この要件のことを、「90%基準」と呼ぶ)。
    ここに、「90%基準」の注意点について考えたい。

    その1:「株式数等判定」は自己株式があったら注意すべき。

    発行済株式の総数 200株
    うち自己株式の数 100株
    うち業務主宰役員グループの持株数 90株

    90株÷(200株−100株)=90%  (答)90%以上に該当

    会社法施行により、保有しやすくなった自己株式ではあるが相続対策等で自己株式を保有している会社も最近はよく見受けられます。こういった場合には、自己株式を除いて「90%以上基準」の判定をすることになります。

    その2:種類株式を発行していたら「議決権判定」も考慮

    発行済株式の総数 200株
    うち種類株式の数 100株(すべて議決権のない株式)
    うち業務主宰役員グループの持株数 90株(すべて普通株式)

    90個÷(200個−100個)=90% (答)90%以上に該当
    (この場合、議決権の数で判定します)

    「株式数等判定」で90%未満の会社でも、議決権制限株式を発行している場合には、次の 銑い坊任欧覽跳荼△里い困譴について、業務主宰役員グループが90%以上持っているかどうかも判定要素となります。
    〇業の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転又は現物出資に関する決議に係る議決権
    ¬魄の選任及び解任に関する議決権
    L魄の報酬、賞与その他の職務執行の対価の決議に係る議決権
    ぞ衢抄發稜枦等の決議に係る議決権

    その3:持分会社には「社員数判定」も考慮
    合同会社(日本版LLC)に関してです。

    資本金の額 200万円
    うち業務主宰役員の出資金額 100万円

    社員の数 2名
    うち業務執行社員 1名(=業務主宰役員)

    1名÷1名=100% (答)90%以上に該当

    持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)でこのようなケースのときは、業務主宰役員グループの人数が、その社員の総数の10分の9以上かどうかで判定します。

    なお、業務を執行する社員を定めた場合には、業務執行社員のみを分母分子として判定します。

    注意すべき点として持分会社は、社員数基準のみじゃなく、
    (1)株式数等判定
    (2)議決権判定
    (3)社員数判定

    (1)〜(3)全部の判定を行ってください。これらのいずれかが90%以上であれば、「90%基準」を満たすことになるからです。持分会社の判定基準は社員数基準だけではありません。

    その4:実質的に「言いなり株主」は不可

    他人(業務主宰役員グループに属さない者)に株式を持ってもらっても、その人が業務主宰役員グループと同一内容の議決権を行使することに同意している場合には、その人も業務主宰役員グループに属するものとみなして、「90%基準」の判定をすることになります。つまり「株主総会で業務主宰役員グループと一蓮托生だったら、他人であっても業務主宰役員グループ」ということになります。従って、株主総会で議決権行使につき白紙委任しているような場合には、同一グループと見られかねないので注意すべきです。
    今後、社外株主がいる会社は、議決権行使書を作成し賛否を明確に表示してもらうべきです。

    その5:(伝家の宝刀)行為計算否認規定

    本年改正で創設された特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度が大きな注目を集めているが、同制度については、早くも、第三者にオーナー所有株の一部を譲渡等することで規制要件の一つである「業務主宰役員の持株割合90%以上」との要件を外すことを検討する動きも見られるという。しかし、こうした動きに対しては、この株式異動の目的が単なる規制逃れと認められれば、今年度改正で一層強化された同族会社の行為計算否認規定を課税当局サイドが発動する可能性が高いのが現状といえるだけに、特殊支配同族会社への対応には慎重さが求められるところだ。

    つまり、株式を他人にもたせたことについて経済的合理性を説明できなければ、オーナー会社課税されてしまう可能性が高くなるわけです。

     す饑把Q&Aによる「常務に従事する役員」の定義

     この「常務に従事する役員」について解説する前に「50%基準」について説明しなければなりません。このオーナー会社課税には、「90%基準」の他にもう一つの適用除外のポイントがあります。
     
     そして、もう一つの基準が「50%基準」です。
     
     業務主宰役員とその関連者が、常務に従事する役員総数の過半数を占める場合は、オーナー会社課税の適用を受けることになります。言い換えれば、赤の他人が常務に従事する役員総数の50%以上であれば、、オーナー会社課税の適用除外となります。

    「50%基準」と「90%基準」は、どちらか1つの適用要件を満たさなければ、オーナー会社課税の適用除外、ということになります。

     しかし、なぜ50%基準は「常務に従事する役員」という概念を持ち込んでいるのでしょうか。それは名前だけの役員を登記してこの適用逃れを排除しようとしていると考えられます。

     平成18年12月に公表された国税庁Q&Aは「常務に従事する役員」の定義を明らかにした。その内容は、「常務に従事する役員とは、会社の経営に関する業務を役員として実質的に、日常継続的に遂行している役員」とのことを示している。
     
     それに該当するかどうかは、業務の内容や従事の実態などを踏まえ、実質主義により判断するとしている。

     具体的に、次のような基準を明示しています。

    饌緝充萃役…会社業務に関する一切の行為をする権限を有するため、当然に該当。

    鯢社長、専務、常務など職制上の地位を有する役員…その会社の枢要かつ責任のある地位にあり、会社の経営に関する業務を実質的に、日常継続的に遂行していると考えられることから、該当。

    鷸藩竸遊麑殻魄…会社の経営に関する業務を実質的に、日常継続的に遂行しているのであれば該当。単に取締役会のメンバーとして業務執行に関する意思決定に参画するのみであれば非該当。
     
    監査役・会計参与…そもそも会社の経営に関する業務を行う役員ではないので、通常は、非該当。

     また使用人兼務役員に関しては、このような基準を示しつつ役員としての報酬が使用人としての給与を超えたときは「常務に従事する役員と取り扱っています。

     現在進行期中の制度ですのでくれぐれもあせらず、慎重に!

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